概要
森岡毅氏は、日本のマーケティング戦略家であり、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)再建を主導した実績で広く知られています。
独立して株式会社刀(かたな)を設立してからは、企業や地域のマーケティング戦略支援を行っています。マスメディアにも広く登場しているので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
この本は森岡流のリーダーシップについて書かれた本となります。
重要なポイント
リーダーシップとは「欲の強さ」である
リーダーシップとは、共同体のために人を動かす力であり、才能以上に「欲の強さ」がその根幹にあります。つまり、何かを成し遂げたいという強い意志が、リーダーシップの出力を決定するのです。この欲が、単なる自己保存の意識を超えて他者を巻き込む原動力となり、成功体験を積むことで、さらに強化されていきます。重要なのは、この力が特別な人だけの能力ではなく、小さな体験からでも誰もが育むことができる点です。
目的の設定
リーダーシップの本質は、集団のために自分を犠牲にする覚悟やリスクを取る姿勢を伴います。目的を魅力的に設定し、仲間を巻き込むには、自分自身がその目的に本気である必要があります。そして、この「目的」が個人としても共同体としても心を揺さぶるものでなければ、人を動かす力は生まれません。
リーダーシップ育成の課題
一方で、リーダーシップの育成には課題もあります。特に日本社会では、個人の主体性を育む土壌が乏しく、リーダーシップが育ちにくい状況にあります。多くの人が失敗を恐れ、本当にやりたいことに挑戦しない傾向があります。これを克服するためには、小さな挑戦から始めて、成功や失敗を経験し、「やればできる」「失敗しても大したことはない」という感覚を得ることが鍵です。
リーダーとしての役割
リーダーとしての役割は「自分が動く」のではなく「人を動かす」ことです。仲間を本気にさせるためには、その人が自発的に動きたくなる環境や目的を設定し、強みを引き出す関係性を築く必要があります。上司としては、部下に一定の自由と責任を与え、結果ではなく、行動のプロセスを認める姿勢が重要です。
リーダーシップを発揮するための環境
リーダーシップを発揮するための環境も重要です。個々の役割や視野が狭い組織では、リーダーとして成長する機会が限られます。そのため、自らの役割や影響範囲を拡大し、挑戦を続けられる環境を選ぶべきです。また、リーダーシップは単に結果を出すだけでなく、人々を巻き込んで共に喜びを分かち合うことで、さらに大きな達成感を得られます。
ストーリーテリング
最終的には、リーダーシップは「人を本気にさせる力」に集約されます。これには、未来のビジョンを描き、共にその実現を信じさせるストーリーテリングの能力が求められます。どんなに小さな一歩でも、最初の挑戦と、それを繰り返す覚悟がリーダーシップを育てるのです。
総評
森岡氏の本はどれも熱い!『苦しかったときの話をしようか』も名著なので、そちらもおすすめです。そのうち紹介いたいます。
リーダーシップに必要なのは「欲の強さ」であるとは、まさにその通りなんですが、このご時世でなかなか言えません。著者の考えはパッションがあるにも関わらず、実にロジカルです。数字に基づいたマーケティング戦略を提唱している戦略家ならではの発想だと思います。
読んでほしい人
- リーダーシップとは何かを知りたい方
- リーダーシップを身につけたい方
- ディズニーもいいけど、USJもいいねの方
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