概要
この本は「レバレッジ・リーディング」で紹介されていた本です。題名だけで面白そうなので購入して読んでみました。
ハードカバーで薄い本なのですが、中身は非常に濃い内容となっています。
戦略を立案するするために脳をどう活用すべきか?その答えがこの本には詰まっています。
重要なポイント
インサイトとは何か
「インサイト」とは、単なる直感や洞察を超えたもので、「勝てる戦略の構築に必要な頭の使い方、並びにその結果として得られるユニークな視座」を指す。これは、従来の戦略論にはないBCG独自の定義であり、成功するための「特別な視点」をもたらすものである。
単なる「思いつき」や「経験則」ではなく、深い分析と実践から得られる視点をインサイトと定義している点に、戦略立案の本質を感じました。新しい価値を生むために思考法そのものを体系化する姿勢が新鮮です。
戦略に必要なもの
戦略とは、理想の姿と現状のギャップを埋める「ユニークな道筋」であり、他社と異なる地位を築くことが鍵。戦略の教科書だけでは本当に「勝てる」戦略は得られず、実践を通じて得たインサイトが必要である。
競争優位を築くには、理論だけでなく実際の経験が重要という教訓は、ビジネスだけでなく人生全般にも通じるものがあります。
思考のスピードを上げる
インサイトは「スピード」と「レンズ」によって生み出される。右脳でパターン認識や仮説を構築し、左脳でその仮説を検証することで、仮説検証を高速で繰り返す。スピードを上げる公式として以下が挙げられる:
1. ユニークな戦略 = 定石 + インサイト
2. インサイト = スピード + レンズ
3. スピード = (パターン認識 + グラフ発想) × シャドウボクシング
右脳と左脳のコラボレーションを意識的に活用する発想がユニークで、思考力を鍛える実践的なアプローチとして興味深いです。個人の能力を超えた高速な仮説構築の仕組みは、現代のスピード感ある経営にぴったりです。
ユニークな視点を持つためのレンズ
「レンズ」は、戦略を多角的に考えるための視点を提供するもので、以下の公式にまとめられる。
4.レンズ=”拡散”レンズ+”フォーカス”レンズ+”ヒネリ”レンズ
具体的には以下のようなものがある:
• ホワイトスペース(拡散):既存の枠外に新しい価値を見出す。
• ユーザーになりきる(フォーカス):平均的データではなく、個別ユーザーの視点で本質を探る。
• 逆張り(ヒネリ):一般的な流れに逆らうことで独自性を生む。
• アナロジー(ヒネリ):他分野で成功したモデルを応用する。
本書では、この4つ以外にも具体的なレンズが紹介されています。
特に「ホワイトスペース」や「ユーザーになりきる」という考え方は、イノベーションの出発点となる重要な視座だと感じました。レンズのリスト化という具体的な提案も実践しやすいです。
ユニークな戦略の公式のまとめ
ユニークな戦略の公式をまとめると以下のようになる:
ユニークな戦略=定石+インサイト
=定石+(スピード+レンズ)
=戦略のエッセンス
+(パターン認識+グラフ発想)×シャドウボクシング
+(”拡散”レンズ+”フォーカス”レンズ+”ヒネリ”レンズ)
これらを同時に活用し、試行錯誤を高速で繰り返すことが重要である。
公式が具体的で、学ぶだけでなく実践の道筋が見えるのが良いです。戦略構築を「体験」するプロセスは、頭を動かし続けることで自分のスキルが鍛えられていく感覚を想像させます。
チームでインサイトを生み出す
チームでインサイトを出すには、以下が重要:
• 共通のコンセプトワードを共有する。
• ビジュアルイメージを用いて議論を進める。
• レンズのリストを共有し、多角的な視点で議論する。
また、心理的・思考的なタイプに応じたチーム編成を行い、インサイト力を高める工夫が必要。
個人の能力だけでなく、チーム全体でインサイトを強化する方法論が具体的で参考になります。特にビジュアルイメージを用いての議論の進め方は、お互いの誤解をなくす最善な方法だと思います。
総評
この本は、戦略を単なる「知識」ではなく、「実践による体得」として捉えている点が非常に特徴的です。右脳と左脳を意識的に使い分けたり、レンズを使って多角的な視点を持つ考え方は、現代の複雑なビジネス環境に適応するための強力なツールだと感じました。戦略構築に悩んでいる人だけでなく、思考力を鍛えたい人全般に役立つ内容です。
読んでほしい人
- 戦略立案の仕方に悩んでいる方
- 一歩踏み込んだ思考力をつけたい方
- チームでインサイト力を高めたい方
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