概要
クロネコヤマト宅急便を作った方の経営書です。
自身の経験をもとに、経営とは何かを書いています。
最大の顧客である三越と決別し、宅急便事業に大きく舵を取るのですが
経営者としてそこは最大の賭けであったと思います。
でも、海外の事業を見てうまくいくという確信があったのでしょう。
ただの闇雲に賭けるのではなく、勝てる土俵で戦っているのです。
ちなみに労働組合と仲良くやろうっていう本は他の経営書ではあまり見たことがありません。
重要なポイント
共同体経営
共同体経営とは社員全員が経営に携わることです。共同体経営では「ともに知り、ともに働く」という姿勢が重視され、従業員が自発的に自己管理することが求められます。そのためには、経済の動きや経営の状態、人事などの経営に必要な情報を従業員にも提供し、同じ目的意識を持たせることが必要です。成果の配分はみんなで考え、最終的な決定は経営者に委ねられますが、重要なのは質であり量ではありません。経営者の役割は、デメリットを抑える方法を考えることであり、個々の需要ではなく、マスの流れに着目すれば対応策が見出せます。また、「できる・できない」ではなく「すべきかどうか」をまず考えることが重要です。
サービスが先
サービスが先で利益は後からついてくるという考え方が大切で、良いサービスを提供すれば結果的に利益が生まれます。安全を第一に、能率を第二とする姿勢を持ち、明確な優先順位を示すことができる社長は「戦術的レベル」のリーダーと言えるでしょう。「全員経営」とは、目標を明確にしたうえで、仕事のやり方を細かく規定せずに社員に責任を持たせることです。
働きがい
一方で、労働基準法が労働時間だけを問題にし、労働の質や密度を問題にしないことには疑問が残ります。会社への批判も、愛情の裏返しであることが多く、経営者は社員の働き甲斐を引き出す努力を怠ってはいけません。働き甲斐は日本人にとって生き甲斐であり、細かく指示されるよりも任されて自主的に行動することが人間にとって気持ちが良いものです。
やる気を阻害する要因とは
コミュニケーションの重要性は高く、企業の目的や目標を明確にし、達成すべき成果や競合他社の状況を説明しながら、戦略を示し、各自に戦術を考えさせることが大切です。また、社内で社員のやる気を阻害する要因は直属の上司であることが多く、こうした上司は細かい指示は得意でも、会社の方針を説明するのが苦手です。そのため、社長と現場の間の管理層は少ない方が良いでしょう。
労働組合との関係
コミュニケーションは具体的で曖昧さがないことが求められ、簡潔で筋が通った説明が大切です。お客様に多く接することで、やる気のある社員が育ちます。社長は孤独であり、その孤独を補う役割を果たすのが労働組合です。労働組合があることで、責任ある経営が可能になります。
フェアであること
倫理性とはフェアであることであり、トップは常にフェアでなければなりません。組織をフラット化し、コミュニケーションを改善することで、経営のスピードが向上し、末端に権限を委譲することで企業の利益計算単位を現場に移すことができます。
企業の目的
企業の目的は、永続することだと思うのである。つまり利益は、手段であり、また企業活動の結果である。
経営リーダー10箇条
経営リーダー10箇条が書いてあります。
さすがに「マスコミとの良い関係」なんてあまり思いつかないですね。
- 論理的思考
- 時代の風を読む
- 戦略的思考
- 攻めの経営
- 行政に頼らぬ自立の精神
- 政治家に頼るな、自助努力あるのみ
- マスコミとの良い関係
- 明るい性格
- 身銭を切ること
- 高い倫理観
総評
経営学の本として一流の本。そっくりそのまま真似することはできないけど、参考になる部分も多い。
アマゾンでモノが届くのも、東京で美味しいモノが食べれるのも物流のおかげですね。
読んでほしい人
- 経営者もしくは経営者になろうとしている人
- 経営コンサル
- 宅急便はクロネコヤマト派の人
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